成長のためのフィードバック手帳

効果的なフィードバックの記録方法:後で見返せるメモの取り方とコツ

Tags: フィードバック, 記録, 整理, 活用, プロダクト改善

フィードバック、どのように「記録」していますか?

日々の業務の中で、お客様やチームメンバーから様々なフィードバックを受け取ることがあるかと存じます。中には耳が痛いものや、どう受け止めて良いか分からないものもあるかもしれません。しかし、これらのフィードバックこそが、ご自身の成長や担当されているプロダクト・サービスの改善に向けた貴重な「声」となります。

せっかくいただいたフィードバックも、その場限りで流れてしまったり、記憶の片隅に置かれてしまったりすることがあるかもしれません。たくさんのフィードバックを受け取る中で、後から見返そうと思っても「あれは誰からいつ聞いた話だったか」「具体的に何について言っていたか」が曖昧になってしまう経験はございませんか。

フィードバックを自身の血肉とし、プロダクトの成長に繋げるための第一歩は、正確に「記録」することです。記録があるからこそ、後から見返したり、分析したり、具体的なアクションに繋げたりすることが可能になります。

この章では、なぜフィードバックの記録が重要なのか、そして、どのように記録すれば後から見返しやすく、活用しやすくなるのか、具体的な記録方法とコツをご紹介します。

なぜフィードバックの記録が重要なのか

フィードバックを記録することには、いくつかの重要なメリットがあります。

  1. 情報の正確性維持: 人の記憶は時間とともに曖昧になったり、歪曲されたりする可能性があります。受け取ったフィードバックをすぐに記録することで、その内容や状況を正確に保つことができます。
  2. 体系的な管理と分析: 記録されたフィードバックは、後からカテゴリ分けをしたり、特定のキーワードで検索したり、傾向を分析したりするための土台となります。記録がなければ、個々のフィードバックは断片的な情報のままになってしまいます。
  3. 変化の追跡: 時間を追ってフィードバックを記録することで、同じ問題が繰り返し指摘されているか、改善策に対する反応はどうかなど、状況の変化やフィードバックの変遷を追跡することができます。
  4. チームとの共有: 記録されたフィードバックは、チームや関係者と容易に共有できます。共通認識を持つことで、改善に向けた議論を深めたり、協力体制を築いたりすることが容易になります。
  5. 振り返りと学び: 自身の成長やプロダクトの進化の過程で、過去にどのようなフィードバックを受け、どのように対応してきたのかを振り返ることで、新たな学びや気づきを得ることができます。

日々の業務に追われる中でも、これらのメリットを理解することが、フィードバックを「ただ聞く」ことから「活かす」ことへの意識変革に繋がります。

どのような情報を記録すべきか

フィードバックを記録する際は、後から分析・活用しやすいように、単に内容だけでなく、いくつかの付随情報を一緒に記録することをお勧めします。記録しておきたい情報の例を挙げます。

これらの情報を構造的に記録することで、後から様々な切り口でフィードバックを分析し、具体的な改善や自身の行動変容に繋げることが容易になります。

効果的なフィードバックの記録方法とコツ

では、具体的にどのように記録すれば良いのでしょうか。特別なツールや複雑なシステムは必要ありません。まずは、ご自身が継続しやすい方法で始めることが大切です。

1. 記録するツールを選ぶ

手軽に始められるものから、少し専門的なものまで様々なツールが考えられます。

まずはご自身が最も抵抗なく、すぐに始められるツールを選んでみてください。大切なのは「記録を始めること」です。

2. 記録を習慣化するコツ

フィードバックを記録すること自体を習慣にすることが重要です。

3. 記録の具体例(Excel/スプレッドシートの場合)

| 日時 | 提供者 | 種別 | 対象機能/画面 | フィードバック内容(Verbatim or Summary) | 重要度 | 状況/関連アクション | | :--------- | :------- | :----------- | :------------ | :------------------------------------------------------------------------- | :----- | :------------------ | | 2023/10/26 | 顧客(A氏) | バグ報告 | 決済機能 | 「クレジットカード情報を入力する際に、エラーメッセージが出ず次に進めなくなった」 | 高 | サポートへ共有済み | | 2023/10/26 | 社内(開発) | 機能要望 | レポート画面 | 「レポートのCSVエクスポートで、期間指定ができるようにしてほしいという要望が多い」 | 中 | 要件整理が必要 | | 2023/10/27 | 顧客(B氏) | 使いやすさ | マイページ | 「マイページのデザインが少し古く感じる。もっとシンプルにできないか」 | 低 | デザインチームと相談 | | 2023/10/27 | 上司 | 改善提案 | オンボーディング | 「新規ユーザーが、特定の機能を使い始めるまでのハードルが高いようだ」 | 高 | ユーザーテスト検討 |

このように記録しておけば、例えば「バグ報告」だけをフィルタリングしたり、「決済機能」に関するフィードバックだけを抽出したりすることが容易になります。

記録したフィードバックをどう活用するか

正確に記録されたフィードバックは、宝の山です。記録があることで、初めて具体的な分析や活用に進むことができます。

これらのステップについては、サイト内の他の記事で詳しく解説しています。まずは「正しく記録する」という最初のステップをしっかりと踏み出すことから始めてみてください。

まとめ:記録は成長と改善の第一歩

フィードバックの記録は、派手な作業ではないかもしれませんが、ご自身の成長やプロダクト・サービスの改善にとって非常に重要な基盤となります。日々の忙しさの中で後回しにしてしまいがちなステップかもしれませんが、まずは「受け取ったフィードバックを、後から見返せる形で書き留める」という簡単なことから始めてみてください。

今回ご紹介した記録方法やコツが、あなたのフィードバック管理の一助となれば幸いです。継続することで、やがてフィードバックが単なる「声」ではなく、具体的なアクションと成果に繋がる強力なツールとなることを実感いただけるかと存じます。